1888-07 · アルル · 脈絡の結び

アルルのロティの月

1888年夏、ロティの小説に出てくる飾りのない日本の部屋から、ゴッホは素描をどんな場所で見るべきか考え始めた。

  1. フィンセント・ファン・ゴッホ、『ラ・ムスメ』、1888、アルル
    F431 ラ・ムスメ 1888
  2. フィンセント・ファン・ゴッホ、『麦束のある麦畑』、1888、アルル
    F561 麦束のある麦畑 1888

絵

ここでは《ラ・ムスメ》(F431)と《麦束のある麦畑》(F561)を示す。《ラ・ムスメ》はプロヴァンスの少女の肖像である。7月29日の手紙で、ゴッホは「ムスメ」という語はロティの『お菊さん』を読めばわかると述べ、このモデルはプロヴァンスの少女だと明記した。もう一枚はアルルの麦畑であり、制作時期が近いだけで小説に直接由来するとは言えない。

手紙

7月初め、彼はテオに『お菊さん』を読んだか尋ねた。次いで小説に描かれた飾りのない日本の部屋から、クラウ平野とローヌ川の素描は、明るく何もなく風景に開かれた場所で見るべきだと考えた。7月15日には、そのような室内が別の時代の簡潔な日本の素描への好奇心を呼び覚ましたと書いた。

場所

アルル。自分の仕事場には白い壁が四面と赤い床石があると記した。南方の二枚の素描は、ほかに絵のない明るいカフェか、屋外で見るようテオに頼んだ。小説の異国趣味を再現するためではなく、絵と見る場所との関係を試すためである。

出来事の流れ

  1. 猛烈な読者 · Letter 637

    ビングの日本美術展の知らせを読み、テオにロティの『お菊さん』を読んだか尋ね、その本を興味深いと書いた。

  2. 翻訳者 · Letter 639

    『お菊さん』に描かれた飾りのない日本の室内を踏まえ、クラウ平野とローヌ川の素描を明るく何もない場所で見るようテオに頼んだ。

  3. 猛烈な読者 · Letter 642

    ロティが描いた飾りのない部屋から、日本の別の時代の、より簡潔な素描への好奇心が生まれた。

  4. 翻訳者 · Letter 650

    完成したプロヴァンスの少女像を「ムスメ」と呼び、その語はロティの小説を読めばわかるとテオに書いた。

原文より

Est ce que tu as lu Mme Chrysantême/ cela m’a bien donné à penser que les vrais japonais n’ont rien sur les murs.

『お菊さん』を読んだかい。本当の日本人は壁に何も掛けないという記述に、ずいぶん考えさせられた。

Letter 639
Le livre de Loti/ Mme Chrysantême/ m’a appris ceci: les appartements y sont nus/ sans décorations & ornements_ Et justement cela a reveillé ma curiosité pour les dessins excessivement synthetiques d’une autre periode.

ロティの『お菊さん』から、部屋には飾りがなく、何も置かれていないと知った。そこから別の時代のきわめて簡潔な素描への好奇心が生まれた。

Letter 642
Une mousmé est une fille Japonaise – provencale dans ce cas – de 12 à 14 ans.

「ムスメ」は日本の少女——この場合はプロヴァンスの少女——で、十二歳から十四歳だ。

Letter 650

書簡出典

このページで参照したゴッホの書簡番号。Van Gogh Letters Project へリンクします。 vangoghletters.org