1888-1889 · アルル · 脈絡の結び

ルーラン一家

彼は自分のために想像の家族を描いたのではない——本当に留まってくれた数人のために、人を留まらせうる肖像を描いたのだ。

  1. フィンセント・ファン・ゴッホ、『郵便夫ジョゼフ・ルーランの肖像』、1888、アルル
    F432 郵便夫ジョゼフ・ルーランの肖像 1888
  2. フィンセント・ファン・ゴッホ、『Portrait of Joseph Roulin (seated)』、1888、アルル
    F435 Portrait of Joseph Roulin (seated) 1888
  3. フィンセント・ファン・ゴッホ、『La Berceuse (Augustine Roulin)』、1889、アルル
    F504 La Berceuse (Augustine Roulin) 1889
  4. フィンセント・ファン・ゴッホ、『アルマン・ルーランの肖像』、1888、アルル
    F441 アルマン・ルーランの肖像 1888
  5. フィンセント・ファン・ゴッホ、『The Schoolboy (Camille Roulin)』、1888、アルル
    F538 The Schoolboy (Camille Roulin) 1888
  6. フィンセント・ファン・ゴッホ、『赤ん坊マルセル・ルーラン』、1888、アルル
    F440 赤ん坊マルセル・ルーラン 1888

油彩六点——郵便配達夫ジョゼフの三つの版、妻オーギュスティーヌ(《子守歌》)、長男アルマン、次男カミーユ、赤ん坊マルセル。ジョゼフの濃紺の制服には金のボタンと赤い文字、背景は装飾的な鮮やかな黄色。オーギュスティーヌは緑の上着とピンクのドレス、背後の壁紙は花柄。一枚一枚が色彩の三角形で一人の人間を支え、肖像を色彩実験に、家族をその実験対象にする。

手紙

1888年から1889年にかけて、何度もこの一家のことが手紙に戻ってくる。「郵便配達夫ルーランの肖像を描いた——読み書きもできず画家でもない男だが、善良で、たいへん聡明な人物だ。」《子守歌》を描き終えた後。「ゴーギャンに話した。遠い海に出ている水夫が、故郷を思い出し、船室で一枚の絵を眺められたら——その絵がオーギュスティーヌが赤ん坊を抱いている姿だ、と想像していた。」別の手紙。「この一家は丸ごと描く価値がある。」

場所

アルル、黄色い家のすぐ隣。ジョゼフはアルル駅の郵便係——濃紺の制服、海軍提督のような髭。オーギュスティーヌは妻で、子どもが三人——成人したアルマン、学齢のカミーユ、赤子のマルセル。これはアルルでフィンセントが手にした、最も「家庭」に近いものだった。仕事帰りにジョゼフが寄って一杯飲み、オーギュスティーヌが赤ん坊に乳を与えている隣の部屋で彼は描いていた。後に倒れて入院することになるが、彼を病院へ連れて行ったのもジョゼフだった。

アルルで、彼が知る人は多くなかった。Roulin は最もよく行き来した相手だった——郵便配達人、共和主義者、おしゃべりで、彼が画家かどうかなど気にしない人物。

彼は Roulin 本人、Roulin 夫人、三人の子どもを描いた。彼らは、アルルで彼が本当に日常の関係に入った数少ない人びとだった——郵便配達人、妻、子どもたち、行き来、絵を選ぶこと、病のあとの世話。

これらの肖像で彼が求めたのは、似ていること(likeness)だけではなく、人を留まらせうる親密の秩序だった。Roulin 一家は、彼が最も崩れたときにもまだアルルにいた。それは小さなことではない。

出来事の流れ

  1. 共感覚の物理精度 · Letter 655

    アルル駅の郵便係ジョゼフ・ルーランと知り合う。仕事帰りに一緒に飲むようになる

  2. 色彩実験者 · Letter 655

    《郵便配達夫の肖像》の最初の版を描く。「ルーランは読み書きもできず画家でもないが、善良で、たいへん聡明な男だ。」飽和した黄の背景で、制服の濃紺を支える

  3. 色彩実験者 · Letter 660

    オーギュスティーヌ・ルーランが隣で娘マルセルを産む。《赤ん坊マルセル》を描く——オーギュスティーヌの子

  4. 共感覚の物理精度

    ヴィンセントが耳を切る。ジョゼフ・ルーランが彼を病院へ連れて行った。ルーラン一家が彼と外界をつなぐ最後の絆となる

  5. 模写者 · Letter 736

    退院後、《子守歌》の最初の版を描く。「遠い海から戻ってきた水夫が、船室で一枚の絵を見る——その絵が、子を抱いたオーギュスティーヌだ、と想像した。」

  6. 色彩実験者 · Letter 739

    ルーラン一家を引き続き描く——アルマンとカミーユの肖像を並行して進める。それぞれが独自の色彩の三角形で組み立てられる

  7. 共感覚の物理精度 · Letter 743

    ジョゼフ・ルーランが転勤でアルルを離れる。アルルでヴィンセントに最も近かった「家庭」が消える。二ヶ月後、彼は自ら望んでサン=レミ病院に入る

原文より

J'ai fait le portrait du facteur Roulin — un homme qui n'est ni lettré ni peintre, mais qui est un brave homme et très intelligent.

郵便配達夫ルーランの肖像を描いた——文字も読めず、画家でもない男だが、まっとうで、きわめて聡明だ。

Letter 655
Roulin, quoiqu'il ne soit pas tout à fait assez vieux pour être comme un père pour moi, a néanmoins pour moi des gravités silencieuses et des tendresses comme serait celles d'un vieux soldat pour un jeune.

ルーランは、私の父と呼ぶには十分に年老いてはいない——だが彼には、若者に向かう老兵のような、沈黙の重みと、優しさがある。

Letter 736
Toute la famille est bien intéressante à peindre.

あの一家——丸ごと、描く価値がある。

Letter 660

書簡出典

このページで参照したゴッホの書簡番号。Van Gogh Letters Project へリンクします。 vangoghletters.org