1889-06 · サン=レミ=ド=プロヴァンス · 脈絡の結び

糸杉

彼は手紙の中で先にあの木を見つけたのではない。描きながら、手紙の中でそれに追いついていったのだ。

  1. フィンセント・ファン・ゴッホ、『Cypresses』、1889、サン=レミ=ド=プロヴァンス
    F613 Cypresses 1889
  2. フィンセント・ファン・ゴッホ、『糸杉のある麦畑』、1889、サン=レミ=ド=プロヴァンス
    F717 糸杉のある麦畑 1889
  3. フィンセント・ファン・ゴッホ、『二人の女性と糸杉』、1889、サン=レミ=ド=プロヴァンス
    F620 二人の女性と糸杉 1889

1889年6月から数ヶ月、同じ題材に立ち戻った——糸杉。代表三点。純粋な糸杉の肖像(前景に二本がほぼ画面を埋める)、《糸杉のある麦畑》(一本が金色の麦の海の中の長い槍のように立つ)、《糸杉と二人の女》。色は深い緑から墨黒——彼自身が「風景の中の黒い染み」と呼んだ。しかし、彼は捻れて立ち昇り、風の中の炎のような筆触で、その黒を輝かせた。一筆一筆が上向きで、方向を持ち、樹全体が燃えながらも沈黙している。

手紙

1889年6月。「糸杉のことが頭から離れない。《ひまわり》のような連作にしたい——驚くのは、誰も私の見るとおりの糸杉をまだ描いていないことだ。」別の一行。「線と比例の美しさは、エジプトのオベリスクのようだ。」さらに。「日に照らされた風景の中の黒い染み——だがそれは最も興味深い暗い音のひとつであり、当てるのが最も難しい。」三つの文が糸杉を位置づける。母題、幾何、色彩の課題。彼は糸杉に、絵画史におけるオベリスクのような場所を与えたかった。

場所

サン=ポール病院の塀の外——そしてプロヴァンスのどこにでも。二階の自室の窓から見えていた。地中海の風が吹くと糸杉は激しく揺れる。緑の炎。五月から病棟を出ることを許された。麦畑の縁、塀の縁の糸杉のもとに歩いて行き、描いた。退院を許される前の最後の数ヶ月。一本一本の糸杉に、「あと何回見られるか」を数える者の眼差しが残っている。

庭と畑をひとめぐり描いたあと、彼は庭の縁の糸杉に目を留めはじめた。

彼は書いた(letter 783)。「糸杉はいつも私の頭を占めている。だが、私が思うようにそれを描いた者はまだいない。その線と均衡は、エジプトのオベリスクのように美しい。」彼はいくつもの版を描き、あの垂直でありながら動く感覚を探した。

彼は何か月も言葉の中で考えてから筆を執ったのではない。むしろ、言葉とカンヴァスはほとんど同時に現れた。描きながら彼は、なぜこの黒緑の木が《向日葵》のように繰り返し扱われるに値するのかを、文で説明しようとした。

出来事の流れ

  1. 共感覚の物理精度 · Letter 783

    「糸杉のことが頭から離れない——《ひまわり》のような連作にしたい。誰も私の見るとおりの糸杉をまだ描いていないことに驚く。」

  2. 共感覚の物理精度 · Letter 783

    「線と比例の美しさは、エジプトのオベリスクのようだ。」共感覚の精度が遠くまで届く——エジプト神殿の石柱で、地中海の樹を名づける

  3. 色彩実験者 · Letter 783

    「日に照らされた風景の中の黒い染み——私が知るかぎり最も当てるのが難しい暗い音だ。」糸杉を色彩理論の課題として扱う

  4. 色彩実験者 · Letter 784

    《糸杉》純粋肖像を完成——前景に二本がほぼ画面を埋める。深緑から墨黒を複数の層に分解——「黒」の内部に呼吸を残す

  5. 共感覚の物理精度 · Letter 785

    《糸杉のある麦畑》を完成——金色の麦の海の中に一本の糸杉が槍のように立つ。オベリスクの幾何と麦畑の動きを、一枚に重ねる

  6. 翻訳者 · Letter 785

    《糸杉と二人の女》を描く。同じ樹が三枚の絵で三つの役を担う——建築、記念碑、生きもの

原文より

Les cyprès me préoccupent toujours, je voudrais en faire une chose comme les toiles des tournesols, parce que cela m'étonne qu'on ne les ait pas encore faits comme je les vois.

糸杉のことが、ずっと頭を離れない——ひまわりの連作のような一組を、糸杉でやりたい。誰一人として、私が見るとおりに描いていないのが、不思議でならない。

Letter 783
C'est beau comme lignes et comme proportions, comme un obélisque égyptien.

その線、その比例の美しさ——エジプトのオベリスクのようだ。

Letter 783
C'est la tache noire dans un paysage ensoleillé mais c'est une des notes les plus intéressantes, la plus difficile à toucher juste que je connaisse.

日のさす風景のなかの黒い染み——だがそれは、私が知る最も興味深く、最も正確に当てるのが難しい暗い音のひとつだ。

Letter 783

書簡出典

このページで参照したゴッホの書簡番号。Van Gogh Letters Project へリンクします。 vangoghletters.org

技法上の根拠

この作品は、本サイトの「技法の変遷」において、以下の根拠として扱われます。

  1. 回転する世界 1889.05 – 1890.05 時期へ F615 / JH1755 糸杉のある麦畑 厚塗り 厚塗りと太い筆触が見える代表作 筆触 渦巻く筆触を示す代表作