1883-10 · Nieuw-Amsterdam · 脈絡の結び

最果ての地

足りなかったのは霊感ではない。四、五色の絵具である。

  1. フィンセント・ファン・ゴッホ、『小屋』、1883、Nieuw-Amsterdam
    F17 小屋 1883
  2. フィンセント・ファン・ゴッホ、『泥炭地の二人の女性』、1883、Nieuw-Amsterdam
    F19 泥炭地の二人の女性 1883
  3. フィンセント・ファン・ゴッホ、『泥炭の山のある農家』、1883、Nieuw-Amsterdam
    F22 泥炭の山のある農家 1883

絵

三点はいずれも Nieuw-Amsterdam の記録で残る——《小屋》《泥炭地の二人の女》《泥炭の山のある農家》。画面に明るい色はほとんどない。灰緑の空、褐色から黒へ沈む地面、屋根の上にわずかな赤。《二人の女》では、腰をかがめた二つの姿がほぼ真っ黒で、地平線に走る一条のオレンジ赤だけがその輪郭を切り出している。その光は画面でいちばん明るく、幅は指一本ほどしかない。《小屋》の記録年代は二か月にまたがるため(9月中旬から11月中旬)、この三か月のどこに置かれるかは今のところ確定できない。
《小屋》の暗さは、絵具を節約した結果ではない。彼は具体的な規則を書いている。灰色の空は、純白でも届かないほど明るいことがある。空を灰色に描くしかないなら、関係を保つために、風景の褐色と黄灰色をさらに数段暗くしなければならない。暗い前景と明るい空は別々に描かれるのではなく、最初から互いを調整している。この作品の絵具には砂が多く含まれ、現場で描き始めたことを示す。さらに地塗り層の上には赤褐色の下塗りが置かれ、画面は中間調から立ち上がる。その層は完成作には見えない。また、技術記録の「地塗り層は判定不能」と一つにしてはならない。後者はより下の地塗り層を指し、ここでいうのはその上の作業層である。
三点はいずれも細かく、中程度の織りのカンヴァスを用いている。記録された経緯の密度はいずれも 20 × 17。地塗り層は現存する技術記録では確実に同定できていない——調べていないのではなく、調べてもなお分からない。ここは覚えておく価値がある。言えるのはカンヴァスまでで、その下の層については言えない。

手紙

ドレンテからの手紙は24通、9月11日から12月1日まで。両親宛の一通を除き、すべてテオ宛である。この弧は手紙から直接読み取れる——推測はいらない。そこにあるのは荒野の孤独ではなく、切れやすい補給線だ。
ホーヘフェーンに着いた晩、彼は書く。「絵具はごくわずかしか持ってこなかった。それでも少しはある」。そして、もっと絵具がそろうまで奥へは進まないと言う。9月24日、まだ乾ききらない習作三点を送り、テオに手順を伝える。用心に挟んだ紙に貼りついていたら、ぬるま湯でふやかすこと。いちばん小さい一枚はひどく沈んでいるから、一週間ほどしたら卵白を塗って色を引き上げること——手紙が丸ごと工程書になっている。その四日後、9月28日。「今朝はまた天気がよくなって、それでも私は描きに出た。ただ、無理だった——絵具が四、五色足りなかった」。彼はこれを気分として書かない。ボリナージュに接続する。二フランに満たない金で、雨のなかを三日三晩歩いたあの時に。補給がなければ、それ以上奥へは行かない。
ホーヘフェーンを発つ前に、彼はフュルネに絵具を送らせ、そこでさらに数点の習作を描いた。10月3日、艀で Nieuw-Amsterdam に着く。11月の末には、手紙はホーヘフェーンを回ってから届くようになり、金は毎回遅くなった。実質、一回分が消えるのと同じである。12月1日——「目下、これ以上は進めない」。数日のうちに、彼はニューネンへ戻った。
(9月24日に送られた習作三点が何であったかは不明である。この三点の証拠として用いることはできない。)

場所

Nieuw-Amsterdam(ドレンテ)は町ではなく、運河の突き当たりにある村である。彼は手紙で、この土地をあるべきしかたで書き表す術がない、言葉が足りない、と言う。運河の両岸を、何マイルにもわたるミシェル、ルソー、ファン・ホイエンだと思ってほしい。平らな色の帯が地平線へ向かうほど細くなり、ときおり芝土の小屋、小さな農家、痩せた白樺が突き出す。いたるところに泥炭の山があり、艀が泥炭や葦を積んで通りつづける。
ここでの辺境は測ることができる。彼の手紙は、まずホーヘフェーンへ行き、それから戻ってくる。

1883年9月、彼はハーグを離れ、シーンと子どもたちのもとも離れた。荷物のなかの絵具はごくわずかだった。彼自身の言葉で——「それでも少しはある」。

天気が好転した朝、彼は描きに出て、何も描けずに戻った——絵具が四、五色足りない。彼はそれを気分としては書かなかった。補給の失敗として書いた。

12月1日、「目下、これ以上は進めない」と書き、数日のうちにニューネンへ戻って、父の牧師館に住む。次に色が問題になるのは、ニューネンの暗さのなかでのことだ。

出来事の流れ

  1. 色彩実験者 · Letter 385

    ホーヘフェーンに到着。その晩の手紙に「絵具はごくわずかしか持ってこなかった。それでも少しはあり、じきに補充できればと思う」と書き、絵具がそろうまで荒野の奥へは進まないと言う——この期間を規定する条件が、最初の手紙にすでに書かれている

  2. 色彩実験者 · Letter 389

    まだ乾ききらない習作三点を送り、扱い方を添える。挟んだ紙に貼りついたらぬるま湯でふやかすこと、いちばん小さい一枚はひどく沈んでいるので一週間後に卵白を塗って色を引き上げること。手紙は感想ではなく工程である(この習作三点の同定はできておらず、本ノードの三点の証拠にはできない)

  3. 色彩実験者 · Letter 391

    天気が好転し、描きに出るが描けない——絵具が四、五色足りず、手ぶらで戻る。彼はただちにこれをボリナージュの先例へ接続する。補給がなければ、それ以上奥へは行かない

  4. 色彩実験者 · Letter 392

    ホーヘフェーンを発つ前にフュルネから絵具を送らせ、そこでさらに数点の習作を描く。その後、艀で Nieuw-Amsterdam に着く。補給が届くと、仕事はただちに再開する

  5. 翻訳者 · Letter 392

    この土地をあるべきしかたで書き表す術がない、言葉が足りないと彼は言う——そこで画家の名前へ翻訳する。運河の両岸を、何マイルにもわたるミシェル、ルソー、ファン・ホイエンだと思ってほしい。あの夕暮れの効果は、ドービニーの一枚がちょうどそれを言い当てている、と

  6. 色彩実験者 · Letter 407

    手紙はホーヘフェーンを回ってから届くようになり、金は毎回遅くなる。彼はテオに計算して見せる。このままでは送金が一回消えるのと同じだ——補給線の長さが、日数で数えられるようになる

  7. 猛烈な読者 · Letter 408

    ドレンテからの最後の手紙。彼はまず読書から来た比喩で誤解を解体し——テオが自分の手紙を、虚無党が皇帝へ突きつける最後通牒のように読んだのだと言い——それから書く。「目下、これ以上は進めない」。数日のうちに、彼はニューネンから手紙を書いている

原文より

Van morgen was het wederom beter weer & ben ik uitgegaan om toch te schilderen. Alleen het was niet mogelijk, 4 of 5 kleuren ontbraken me, en ik ben toch zoo beroerd weer terug gekomen.

今朝はまた天気がよくなって、それでも私は描きに出た。ただ、無理だった——絵具が四、五色足りず、ひどく打ちのめされて戻ってきた。

Letter 391
Ditmaal schrijf ik U heel uit den achterhoek v. Drenthe, waar ik gekomen ben na een eeuwig lange vaart in de trekschuit door de heide.

今回は、ドレンテのいちばん奥まった場所から書いている——荒野を艀で延々と渡って、ようやくここに着いた。

Letter 392
Heden verzend ik als postpakket 3 studies welke ik hoop droog genoeg zijn. Indien ze evenwel aan 't vel papier dat ik er uit voorzorg opleg vastkleven, zoo week ze af met laauw water. De kleinste vooral is erg ingeschoten, doe er over een dag of 8 een eiwitje op om ze uit te halen.

今日、習作三点を小包で送る。十分に乾いていればよいのだが。用心に挟んだ紙に貼りついていたら、ぬるま湯でふやかして剥がしてほしい。とりわけ小さい一枚はひどく沈んでいる——一週間ほどしたら卵白を塗って、色を引き上げてやってくれ。

Letter 389
Wij zijn nu op een punt dat ik zeg: momenteel kan ik niet voort.

私たちはいま、こう言うほかない地点にいる——目下、これ以上は進めない。

Letter 408

物質的な証拠

作品の素材と画面から確かめられる事実。

  1. F17 · F19 · F22 色彩実験者

    三点はいずれも同じ規格のカンヴァス——細かく中程度の織りで、記録された経緯密度はいずれも 20 × 17。

  2. F17 · F19 · F22 色彩実験者

    三点とも地塗り層が判定できない。したがってこの期間の暗さは、地にも絵具の不足にも帰せられない。確かなのはカンヴァスだけである。

書簡出典

このページで参照したゴッホの書簡番号。Van Gogh Letters Project へリンクします。 vangoghletters.org